
1995年10月9日 東京ドーム
そこには二つのイデオロギーがありました。
どちらが強いのか。
どちらが本物なのか。
どちらが支持されるのか。
リングの上でぶつかっていたのは、イデオロギーでした。
だから勝つだけでは足りないのです。
どんな技で勝つのか。
そこには、意味が必要でした。
選ばれたのは、足四の字固め。
何十年も前から存在する、どクラシックな技です。
派手ではありません。
新しくもありません。
それでも観客は沸きました。
なぜでしょうか。
そこには、
受け継がれてきたものがあったから。
守りたいものがあったから。
あの日、決まったのは関節技ではなく、メッセージだったのではないでしょうか。
「これが俺たちのプロレスだ」
そんな叫びが込められていたように思えたのは、もう30年以上前のこと。
不思議なことに今でも、時代を超えて記憶に残り、多くの人々に語り継がれています。
本に挟んでもいい。
手帳に挟んでもいい。
リングに持ち込んでもいい。
ドラスクからつないでもいい。
文字のしおり「足四の字固め。」は、単なる技の名前ではありません。
あの時代を知る者たちの、合言葉です。
受け継がれていく歴史に、敬意を込めて。


