紙のお話(YUPO・BAMBOO・STONE)

印刷物を作る際には、必ず紙が必要となります。
一般的な紙は、木材チップを繊維にまでばらして、それを大量の水につけて梳いて乾かすと出来上がります。
日本においては、日常的に使われている紙の原料となる木材は、ほとんどオーストラリアや南アフリカ・アメリカなどからの輸入に頼っています。
そして地球上では10分間に、おおよそ野球場と同じ広さの森林が伐採され続けていると言われています。
そんな中、森林伐採を抑制する観点からケナフやサトウキビなどの植物由来の素材を用いた紙も作られてきています。
そこで今回は木を使っていない3つの紙についてご紹介しましょう。
■ユポ紙(YUPO PAPER)
ユポ・コーポレーションが開発した「石油」で出来た紙です。
ユポは燃やしても安心なエコ素材です。
可燃物用のゴミ袋と同様のポリオフィレ素材で、有害物質等は発生しません。
主原料となっているポリプロピレンは、炭素と水素からなっていますので、十分な空気を与えて燃やせば炭素ガスと水になり、塩素系ガスや窒素酸化物などは発生しません。また、ユポのスクラップは樹脂として再生利用も可能です。
皆さんが最もよく見るユポ紙は、屋外に貼られている選挙ポスターです。
破れにくく雨水を防ぐことができるので、選挙ポスター等の屋外掲示物にユポ紙は最適です。
■竹紙(BAMBOO PAPER)
中越パルプ工業㈱や竹尾などが開発した「竹」で出来た紙です。
これまでの日本では、人々の生活には竹が深く関わってきましたが、生活様式の変化による需要の低下、人口減少や高齢化により、日本中で放置竹林の問題が起こっています。
その為、間伐・伐採された竹材を有効活用することで、生物多様性や里山の保全等に貢献する環境に配慮した紙です。
本来、竹は製紙原料には不向きでしたが、試行錯誤を重ね、国産の竹パルプ100%を原料として開発されました。
普通の上質紙と変わらぬ使い方をすることが出来ます。
■石の紙(STONE PAPER)
株式会社TBMという会社が開発したライメックスという「石」が原料の紙です。
今までも海外製のストーンペーパーはありましたが、それらは比重が重く印刷に適していませんでした。
日本で開発されたライメックスは、軽量化に成功した新しいストーンペーパーです。
原料となる石灰石は日本中どこにもあり、作る際に木を使わず水を大幅に削減できます。
また世界各地の埋蔵量も豊富で、かつ高効率でリサイクルも可能なため、木材や水資源が乏しい国々でも輸入に頼ることなく自国で生産できるため、ライメックスは現在世界中で注目を集めています。
石でできているため破れにくく、水に強く劣化しにくく、長期間利用が可能です。
ユポ紙に近い感覚で使う事ができます。